ハナモミジ

ハナモミジ

「育てる園芸」から「魅せる園芸へ」

前回の日記↓

https://hana-momiji.net/wphm/2018-9-1/

前回の日記から続きます。

ギャザリングを教わった事で土や不要な根っこを落とせることを知ることができました。これによって、植物と植物がより近くに合わせることができるようになりました。お隣さんの植物と近くに寄ることができるので細かな表現ができるようになった。これは本当に革命的でした。「土落としていいんだー!こんなに寄せてたくさん植えちゃっていいんだー!」という感動は、私だけでなくギャザリングを初めて体験した方はみんな感じていることだと思います。園芸でタブーとされていた「根鉢を崩すこと」に失敗を繰り返しながらたどり着いた先生はすごい。

根鉢を崩し、余分な根は切って、何本も植えている植物をバラバラにして花束のように組む。これによりより繊細に表現できるようになりました。「育てる」前提で植物を植えていた私達ですが、「育てながら魅せる」ということができるようになったのです。ギャザリング技法がうまれたことで、「園芸」というコアなカテゴライズでなく、まずは「魅せる」という部分で視覚的に幅広い方に知ってもらえる機会を得ることができたのです。タイトルで使った「魅せる園芸」という言葉も少し違うかもしれないな。いい名前あれば教えてください♪

この技法によってさまざまな表現方法が可能になったわけですが、相手は生きてる植物。切り花を自由に生けるのとは違っていろいろと考えなければいけないことがでてきます。

 

ギャザリングで仕上げた寄せ植えはどのくらい持つのか?

繊細に表現できるようになったことで、まるで切り花のフラワーアレンジメントのような表現が可能になりました。花と花の間から細かなリーフがでていたり、小さな器に何ポットも植物を植えることができる。ここで疑問がでてきます。

こんなにたくさん植えちゃって大丈夫なの?育つの?

基本的には育ちます。きちんと植え込みができていれば。ただ、どのくらいの期間生きていくのか。ここが植え方で大きく差が出ます。植え方、植えた人によって「どのくらいの期間持つのか」の定義がかなり変わってきます。これは「どのくらいの期間持てばOKか」と定めることによって、使える植物、選ぶ植物が変わります。

 

◎切り花の根付きバージョン。1週間持てばいいよ。

切り花の花持ちは1週間程度です。それと同じくらい、もしくはもう数日持てばいい、という定義でギャザリングする場合、使えるお花の幅が広がります。外で育てる植物、部屋の中の植物、多肉植物などなどなんでも好きな植物を使って自由に表現できちゃいます。1週間そこら持てばいいわけなので。「育てる」のではなくしばらくの間「飾る」という目的にはぴったりです。例えば開店お祝いとして、展示会などの一定期間の花としてギャザリングを活用するときはどんな植物でも植え込み可能です。

 

◎このままの状態で1ヶ月間楽しみたい。

私が思うに、ギャザリングの花持ちって1ヶ月が妥当かなって思います。もちろん、植え込んだ植物はたった1ヶ月では枯れたりしませんが「この美しい状態を維持し続ける」と考えると1ヶ月が妥当かと。根のついた生きた植物なのでもちろん少しずつ成長するし、一部の植物は成長が早く、一部の植物はゆったり成長するといったように、個々の植物の成長、お花の咲く期間などにばらつきがあるからです。

全体的にもこもこしてきたり、若干弱い子は生存競争で淘汰されていったりします。また、お花がずっと咲き続けるものもあれば、咲いた後ちょっとお休みしてまた咲き出す子もいたり。植えた植物が仲良く同じスピードで成長するわけではなく、ばらつきがあるものなのです。なので、「このままの状態を維持できる期間」は1ヶ月くらいかなと思います。

ただ、私はもう少し、せめて2ヶ月くらいは持ってほしいなと思ってるので、生存競争が行われにくくするように、植物と植物の間に空気感を持って、均等に風が通り、お日様が当たらない子がいないようにふんわり植え込んでいます。

 

◎3ヶ月〜半年楽しむ。育てて楽しみたい。

3ヶ月越えて楽しむように作るにはいくつかコツがあります。植物の個々の性質をよく理解した上で花選びをするのが肝心になってきます。例えば、花期の短い花を忍ばせた後に、後を追って咲き出す植物を一緒に植え込む。宿根草や一年草、リーフ類などを計算しつくして植え込む。
ガーデナーさんはこのように植え込む方も多いかもしれません。ただ、半年近く植物を良い状態に保つにはこまめなメンテナンスも必要だし、そもそも全部をギャザリング技法で植え込む必要もなくなってきます。寄せ植えとしてゆったりめに植え成長させ、一部分をギャザリングで繊細に表現する。こんな植え方で十分ですね。 

ちなみに、私も背の高めの植物や宿根草を多く使う場合にはこの植え方で植えます。1年草をあえていえないことで、花殻摘みという面倒なメンテナンスをはぶきます。全体的にリーフ類が多くなりますが、飲食店さんへのお祝いなどあまり手をかけれない場所への贈り物等にはローメンテで長く楽しめる植え方をします。ただ、使う花材はだいぶ厳選するようにしています。樹木系なんかが強くて向いていますね。

 

 

このように、「ギャザリング技法で作った寄せ植えはどのくらい持つの?」の定義は植える人、組み合わせる植物によって随分違ってきます。長く持つことがいい!人もいれば、飽きちゃうからマメに入れ替えたい人もいる。花束の延長として、1週間持てばいい人もいる。みんなそれぞれです。だからギャザリング技法を使って寄せ植えを作る時には「どのくらい持つ作品に仕上げるのか」ということを用途に応じて設定することで、まずは花選びをどのようにしたらいいのか?という次のステップに続くことができるのです。

次回は「私がギャザリング技法を使って寄せ植えを作る時に大切にしていること」を書いてみたいと思います。

小森 妙華 komori myoka


アトリエ華もみじ代表【好きな食べ物】 餃子とビール【趣味】料理・写真・畑
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