ハナモミジ

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【ディプロマ便り】継続は力なり

ラナンキュラス ラックスや宮崎ビオラをはじめ、コチョウランやカーネーション、ポインセチア、、全国でも有数の花の産地である宮崎県に、2008年から続く一軒のお花屋さんがあります。

「花むすび」さん。

今回のディプロマ便りでは、花屋「花むすび」をご主人と共に切り盛りしながらブリコラージュフラワーの活動を続けている、松尾美和子さんにお話を伺ってきました。

マルシェを翌週に控えた、とある日曜日。出店の準備で忙しいにも関わらず、爽やかな笑顔で迎えてくれました。

 

 

店内は切り花屋さんがメインなだけあって、ショーケース内には色鮮やかな花、ギフトグッズ、そして意外と需要があるという造花が並んでいました。(最近の造花のクオリティが高くて驚き!)

 

「ずっと花屋さんをしながら、花屋さんは花屋さんで楽しいんだけど、なんだか腑に落ちないところがあって。」

そう話を切り出した松尾さん。

長年花屋で働いてきた松尾さんがブリコラージュフラワーに出逢い、そして今では毎週欠かさずライブ配信を行うに至ったストーリーを明かしてくれました。

 


 

お花には興味がなかった

「元々お花がすごく好きということもなかったし、興味もなかった。」

語学留学をするほど語学に励んでいた学生時代。英語を使った仕事をするつもりでいたけれど、資金繰りがうまくいかず断念。仕方なく帰国した松尾さんは、たまたま宮崎のシーガイアで通訳ボランティアの募集を見つけてアルバイトを始めました。

「そこのサミットホールに当時の森首相が来ていてね。外国人もたくさん来ていて。そしたらその大きい会場の真ん中にいつも生花が飾ってあったの。毎日それを見ていたら、「花っていいね〜」って思った。」

花に意識をし出したら見える世界が変わったと話す松尾さん。ご自身の実家にもこんなに花がたくさんあったのか!とその時気づいたといいます。

その後、園芸店の切花部門を経験し、お花屋さんで働くご主人と出逢うことになります。

 

 

模索した15年間

ご主人がお花屋さんを辞めたことを機に、ふたりで花屋「花むすび」をオープン。それが2008年のこと。

「華もみじさんに出逢うまでのその15年間は全然意欲的になれなくて。好きな仕事ではあるけれど、ずっとうーんと思いながら。」

何か新しいことをしなければと思い立った松尾さんが始めたことのひとつが “押し花”。いくつか作品を見せていただきました。

▲ヒマワリとミニバラの作品。茶色のヒマワリも本物で、お店に入荷した花で制作。和紙を風船に見立ててアクセントに。

 

▲青い部分(海)はデルフィニウム、緑の部分(陸)はサニーレタスを使った抽象的な作品。題して「よみがえる地球」

 

これはこれは、、想像していた“押し花”を遥かに超える作品でとても驚きました!作品からも見て取れる通り、作業工程がなかなか緻密で、あとは湿気との戦いなのだとか。

しかし最初は夢中になってのめり込んだ押し花も、どこかで「やっぱりこれじゃない」という気持ちを拭いきれなかったそうです。

 

 

やっと見つけた!

転機となったのは、同じ宮崎で当時から宮崎生まれのお花たちを全国に発信していた花屋アナーセンさんのインスタグラム。普段からデジタルに疎い松尾さんがたまたま見かけた、“華もみじに行ってきました!”という投稿。そこで初めて目にした小森妙華作の多肉のマウントブリコラージュのあまりの可愛さに、心を奪われました。

普段から県外に出るタイプではなく、ジッと籠っていることが多い松尾さん。華もみじが福岡にあることを知って最初は足が向かなかったといいます。試しに買ったベラボンも置きっぱなし。けれど、華もみじのことを調べるうちに自分の気持ちがだんだん大きくなっていることに気づきます。

「行きたい。」「でもな…行けないよな。」

そんな葛藤を半年以上繰り返した末、ご主人の快諾もありながら、華もみじへ月1回ディプロマレッスンに通うことに決めました。

「地理も全くわからないから、当初はいつも華もみじの近くの神社で時間を潰していた。まずはレッスン前の緊張よりも乗り物が不安だった。でも毎月通ううちに、自分でいける!っていう自信になったから、今では東京にもひとりで行けるようになって。そういう免疫がほぐれて、どこかに行くのっていいなって思えて成長できた。」

 

そうそう、記憶にある方もいらっしゃると思いますが、2022年には華もみじの公式インスタグラムで開催していた、小森妙華とのコラボ配信『小森さんと一緒』に松尾さんが出演してくださったんですよね。実は、参加者を公募してもなかなか集まらなかった企画なのですが(笑)実は真っ先に手を挙げてくださったのが松尾さんで。

そんなお姿からは想像できないお話でした。

ブリコラージュフラワーに出逢うまでの15年間、本人にとってこの時間の長さがどれほどかはわからないけれど、たくさん種蒔きをしたからこそきっとこれだ!と思える芽が出たのでしょうね。

 

 

インスタ配信を続ける理由

ブリコラージュフラワー界隈で、松尾さんはなかなかの有名人。というのには理由があって、毎週決まって火曜の朝8時にインスタライブを配信しているから。

「ブリコラージュフラワーを知ったら、自分がやってきたことをもっと伝えていくにはやらないといけないんじゃないかと思って。」

と話す松尾さん。

花むすびは切り花がメインのため、花苗の仕入れ数が多くはない。毎週内容を変えて配信するのはとてもハードルが高いけれど、その種類が少ない中で考えることが大事なんだと考えているそう。

「それと、たまに「元気をもらってます!」って配信でメッセージを送ってくれる人がいるのよ。そんな人が居てくれてるんだって思うと「あ〜今週は休んでいっか〜」ってできなくなってきて。

だから、そうやって思ってくれている人もいるのであればね、その人のためにだけでもやれたらいいのかなって思うようになって。なるべく続けるようにしている。ライブを始めてからもうすぐ3年ですね。」

そう話す松尾さんの表情からは、ずっと煮え切らなかった感情は一切感じられませんでした。

 

“継続は力なり”ってよく言われるけれど、それってなかなか簡単にできることではなくて。たとえ自信がなくてもひたむきに続けることで松尾さんの想いが確実にたくさんの人の心に届いているし、その分自分にも力として蓄えられているのだろうと感じられた取材でした。

皆さんも、よかったら配信を覗いてみてくださいね!きっといい一日のスタートを切れるはず。

(編集部 よっしー)

 

花むすび

花むすびの由来は大和言葉から来ており、“全くないものからいろんなものを生み出す力” そんな意味合いを気に入って付けられたそうです。

「むすび」の大和言葉は「むすひ」
むす(生す):ないものからあるものを作るという意味
ひ(霊):神や霊的な意味

住所/宮崎市下北方町上田々972-4
電話番号/0985-41-4387
Instagram/@hana_87musubi

2024.02.19

よっしー yoshi


ハナモミジ / 編集・オンラインショップ【好きな食べ物】いちご、モンブラン、韓国料理【趣味】BTS
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