ハナモミジ

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絵本作家・すぎはらけいたろうさんインタビュー「絵本制作にかける想い」(後編1)

絵本作家 すぎはらけいたろうさんインタビュー。前編では、華もみじとのご縁やコラボアイテムの誕生エピソードについて語っていただきました。後編では、すぎはらけいたろうさんの辿ってきた道、そして絵本や制作スタイルについてお話を伺いました。

 

ーーー 絵本の制作を始められたきっかけは何ですか?

すぎはらけいたろう氏(以下、すぎはら):絵本はずっと作りたかったんですよね。子供の頃から絵本をよく母親に読んでもらっていたんですよ。好きな絵本も何冊かあって。20歳頃からそういうのに向き合ってみたいなって。でもどうやって作っていいかとかよくわからないし、国内のコンペに出しても全然ダメだし手探りでしたけど。

絵本だけで食べていけるようになるのは相当先だろうとなんとなく思っていました。だからグラフィックデザイン事務所に就職したんですけど、その時の面接にも勝手に絵本を作って持って行ったんですよね。

 

すぎはら:グラフィックデザイナー出身の絵本作家って多いんですよ。ブルーノ・ムナーリとか、ディック・ブルーナもそうだし、エリック・カールもそう。だから似てるっていうか、平面デザインなんですよ。しかも僕の場合ブックデザインをしているから、僕からすると総合格闘技に思えて。ボクシングはパンチだけ、キックボクシングはキックとパンチ、総合格闘技はそれに絞技とか関節もあるじゃないですか。そういう感じなんですよね。

小森妙華(以下、小森):なるほど〜。私もミッフィーちゃんとエリック・カールが好きなんですよ。何が好きかっていうと、この本の中の空間の使い方とか余白感とか、色の配置とかがめちゃくちゃ好きで、その二人のこと好きなんですけど。結局そうですよね、デザイナーが絵本をデザインしているから。

すぎはら:そうそう。日本の絵本って絵を描く人は絵を描く人、文を書く人は文を書く人。ちょっと前までは出版社の編集者が印刷データを作っていたから、昔の絵本は文字が結構汚かったりする。でもようやく最近ちょっとずつ変わってきて、日本の絵本もデザイナーに頼むようになってきたりデザイン性が高いものが増えてきてはいますね。

 

ーーー すぎはらさんの絵本は紙のコラージュで描かれるスタイルですが、どのように制作されているか見せていただけますか?

すぎはら:こんな風にいろんな色を作って。全部マテリアル(素材)を作って貼っているんですよね。

小森:色々試してるんだ!マテリアルの一部だけ使ってるんだ!!

 

すぎはら:そうそう。例えばこれはブタさんを作った時の、耳たぶとか。全部アナログで。(笑)こういう風にちょっと滲ませたい時は水彩絵の具で、ブタさんみたいにバキッとしたい時はアクリルでやっていて。その出したい質感によって絵の具は変えていますね。

 

すぎはら:切り取った端切れがいっぱい残っていて、あのハンカチになっているんです!

よっしー:“ハギレ”シリーズですね!


【すぎはらけいたろうデザイン】ハンカチ[はぎれ]
https://www.hana-momiji.net/item/ib/sugiharakeitaro/

 

すぎはら:これを色々組み合わせて。これは「トトのかんぱい」のお化けを切り取った残りかな〜とか。全部意味のない形ではあるんですけど。

よっしー:意図してこういう形ってなかなか作れないですもんね。紙以外にも布の端きれとか他の素材を使っていたりしますか?

すぎはら:『ピーターとおおかみ』(CD絵本)では布を使っていますね。それこそロンドンに住んでいた時に、蚤の市とかで買ったこういったコラージュの素材がゴミとしていっぱい売ってあって。これとか、ポルトガルの潰れたホテルの領収書。いろんなところから業者さんの何かが。(笑)

 

よっしー:確かにこれ読めない人からするとお洒落ですもんね。

すぎはら:そうそう。面白いじゃないですか!古本屋さんでこういう本を買ってバラバラにして。古い紙の質感ってやっぱり古い紙じゃないと出ないじゃないですか。あと昔の印刷物って活版でやっているからだと思うけど、ちょっとヘコんでいたり。この新聞は、ドイツ大使館に電話してもらったりして。そういう元々面白い素材のものを集めていますね。

 

よっしー:初めて見ました!

すぎはら:外国の蚤の市に行くとよく売っていますよ。7インチのドーナツ盤のレコードとか、こんな束になって10ユーロとかで売っていたりするので。楽譜とか切手とか色々見つけたら集めるようにしていますね。

 

よっしー:これはどうやって使っていくんですか?

すぎはら:錆びたやつが好きで。犬の散歩をしている時に拾ってるんですよ。先日、あるお仕事でその人たちの撮影用プレゼン資料を作ったんですけど、その時にここにこういう風に(クリップ代わりに)使ったらとても喜ばれました。

すぎはらビンテージの古道具みたいなのが好きな方達なので、これは大変喜ばれました。

小森:めっちゃ大事にしてるのがいい。サビサビでいいね〜(笑)

すぎはら:イギリスのマップとか。何かわからないけれど、その国それぞれの特徴があって可愛いですよね。これも蚤の市で買った日本のやつだけどレトロで可愛い。自分がときめくものを集めてコラージュしてるって感じですね。

よっしー:好きなものを集めてコラージュするって、華もみじと一緒ですね。

小森:ブリコラージュ!

すぎはら:ブリコラージュ!確かにね。一緒だ一緒だ♩

 

ゴミとして捨てられる運命だった古い紙も、道端に落ちていたガラクタも、すぎはらさんの手によって命が宿される。この独特な制作スタイルはとても興味深く、すぎはらさんとの話は尽きません。

後編はまだまだ続きます。近日公開予定!どうぞお楽しみに。

 

すぎはらけいたろう(Keitaro Sugihara)


絵とデザインの仕事を中心に、近年は空間デザインのアートディレクションなど幅広い仕事を手掛けられています。今回華もみじの世界観をモチーフにしたオリジナルタオル『花と暮らしのタオル』をデザインいただきました。

 

⌘すぎはらけいたろう公式サイト
http://www.keitarosugihara.com/index.html

とびだす絵本「たべるのだあれ?」、絵本「トトのかんぱい」が好評発売中!
公式サイトほか、Amazon、紙と糸、全国書店にてお求めいただけます。

 

(書き手:つうしん部 よっしー)

 

 

 

絵本作家・すぎはらけいたろうさんインタビュー「コラボアイテム誕生の裏側」(前編)

 

絵本作家・すぎはらけいたろうさんインタビュー「絵本制作にかける想い」(後編2)

2021.09.13

よっしー yoshi


ハナモミジ / 編集・オンラインショップ【好きな食べ物】いちご、モンブラン、韓国料理【趣味】BTS
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